欠陥建築の事実とその被害を知る
欠陥建築とは
欠陥建築とは、建築基準法等の法令に違反している建築物のことです。設計ミス、施工ミス、または手抜き工事などにより、あるべき性能が失われており、耐震性を中心とする基準を下回っている建築物です。建築主に違反がなく、全く知らない場合は、過失・偽装設計や過失・偽装工事、悪意の手抜き工事などの理由が考えられます。建築主、設計者、施工者の誰か、もしくは複数に責任があります。
欠陥建築による地震被害の増幅
欠陥建築の影響は、建物の完成当初には見られず、何年も経ってから現れることが多いものです。コンクリートの厚み不足があった場合に、コンクリートが劣化するにしたがって中の鉄筋がむき出しになってきてしまったり、小さな地震で劣化が進み裏まで貫通するひび割れができてしまったり、というようなことがあります。また施工の際、コンクリートが固まり切らないうちに型枠を外してしまったり、コンクリートを水で薄めたり、また、コンクリートの中に関係のない木片やゴミが紛れ込んでいたり、といった場合もあります。
これらの欠陥は、確実に耐震性を損なってしまうため、大地震に対しても倒壊する可能性が高くなります。十分な対策が必要でしょう。下記は阪神大震災の時に欠陥建築のあった建築物の倒壊例です。ご参考ください。
ピロティの圧壊
これは、鉄筋コンクリート造のマンションですが、1Fが駐車場で、車の出入りのために壁がありませんでした(ピロティ)。昭和56年以前の建物(旧耐震設計基準だった)では多いのですが、壁が無いために、地震力に対する抵抗が弱く、特に柱と梁の接合部分が、圧壊してしまった例です。
港のクレーンの転倒
港のクレーンの地面への固定が不十分だったため、海に落ちてしまったものがありました。同様のケースで工場内の生産設備の機械の固定が悪く、地震の一撃で吹っ飛んでいったり、転倒したりしました。工場の再稼動が遅れた大きな原因の1つになっています。